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おなとも!
第3章

クラウン的な高級車はじいやのエグエグをBGMに見も知らぬ道路をスイスイ走り抜けていく。
高級車って振動が少ないのね冥土の土産にいい経験が出来たわフフ・・・などと自暴自棄気味に考えていたとき、発車以来ずっと助手席で黙ってスマホをいじり続けていたホワムーが唐突に口を開いた。
「なぁ。おかあちゃま、いま家にいるかなぁ」
すでに“おとうちゃま”発言を受けているので今更動揺したりはしない。
慣れとは恐ろしいものである。
じいやはハンドルを握りながら首を横に振って見せた。
「いえ、奥様は生憎お出掛けになられて・・・ナナジ頃お戻りになると」
「ふうん。じゃあサクラコねえさまはぁ?」
「サクラコ様はお花のお稽古に・・・もうじき戻られる頃かと」
「えぇ?マジかよぉ。サクラコねえさまに帰ってこないでって言ってよぉ」
「そう申されましても・・・」
彼らは私の知らない金持ちの日常会話を繰り広げている。
ホワムーは夕飯が3日連続カレーなどという一般家庭あるあるを体験したことがないんだろうなぁ・・・と考えているうちに、窓の外に趣きのある板塀が出現した。
板塀の瓦からは丸く剪定された松の木がにょきにょきと顔を出している。
走れど走れど、窓の外にえんえん続く板塀。
一体どこまで続くのか・・・と思っているうちに我々を乗せたクラウン的な高級車が停まった。
高級車って振動が少ないのね冥土の土産にいい経験が出来たわフフ・・・などと自暴自棄気味に考えていたとき、発車以来ずっと助手席で黙ってスマホをいじり続けていたホワムーが唐突に口を開いた。
「なぁ。おかあちゃま、いま家にいるかなぁ」
すでに“おとうちゃま”発言を受けているので今更動揺したりはしない。
慣れとは恐ろしいものである。
じいやはハンドルを握りながら首を横に振って見せた。
「いえ、奥様は生憎お出掛けになられて・・・ナナジ頃お戻りになると」
「ふうん。じゃあサクラコねえさまはぁ?」
「サクラコ様はお花のお稽古に・・・もうじき戻られる頃かと」
「えぇ?マジかよぉ。サクラコねえさまに帰ってこないでって言ってよぉ」
「そう申されましても・・・」
彼らは私の知らない金持ちの日常会話を繰り広げている。
ホワムーは夕飯が3日連続カレーなどという一般家庭あるあるを体験したことがないんだろうなぁ・・・と考えているうちに、窓の外に趣きのある板塀が出現した。
板塀の瓦からは丸く剪定された松の木がにょきにょきと顔を出している。
走れど走れど、窓の外にえんえん続く板塀。
一体どこまで続くのか・・・と思っているうちに我々を乗せたクラウン的な高級車が停まった。

