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透明な鎖
第1章 被虐性愛
「おい、起きろ。着いたぞ」
渚先輩に身体を揺すられ、目が覚めた。
「……ん」
……着いたって、ここどこだろ。
ゆっくりと身体を起こし、周りを見渡す。
「ほら、掴まって。降りるぞ」
先輩は、タクシーの運転手さんに軽くお礼を言って、あたしの身体を支えながら降ろしてくれた。
「……ここ、何処ですか」
足元が覚束ないあたしを支えたまま、先輩はあたしに合わせて歩いてくれる。
あたしのこと、気付かれてないはずなのに、なんでここまでしてくれるんだろう。
「ホテルだよ。聞こえてただろ」
……そっか。
そういえば、寝る直前にそう聞いた気がする。
もう何処でもいい。
早く寝たい。