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透明な鎖
第1章 被虐性愛


ホテルの部屋に着いた瞬間、あたしは玄関に座り込んだ。


「……お前、せめてベッドまで頑張れよ」


先輩がそう言って、あたしの身体に手を回し、軽々とお姫様抱っこしてくれた。


「先輩……あたし、重いから……」


そこまで言って、ハッとする。


せっかく気付かれてなかったのに、先輩なんて言ったらバレてしまう……。


「え、なに?先輩?」


……やっぱり、気づいてないの?


「なんでも、ないです……」


……ほんとに、あたしのこと忘れてるんだ。


それはそれで、悲しい気もしてしまう。


「……なんて。忘れてるわけねぇだろ」


先輩のその言葉とともに、あたしはベッドに降ろされた。


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