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透明な鎖
第2章 秘事
『今日いつものホテルで。会える?』
色もない、温かみもない。
用件だけの、簡潔なメール。
……蓮だ。
蓮のメールを見てしまうと、どうしようもなく会いたくなる。
あたしの指は自然と動き、蓮に返信する。
『会えるよ』
送信完了の文字が目に入った瞬間、昨日の渚先輩の言葉が頭に浮かんだ。
……そうだ。
先輩、今日の夜来るって……。
だけど昨日の様子だと、ほんとに来る気があるのかわからない。
……それに、渚先輩ならいつでも会えるじゃない。
そう、自分に無理に言い聞かせた。
蓮に会いたい気持ちが、あまりにも大きかった。
ランチも終わり、自分の家に帰ると、あたしは時間をかけて服を選び、シャワーを浴びて、蓮に会うための準備をした。