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透明な鎖
第2章 秘事
───19時。
蓮との待ち合わせ場所に向かう。
……まだスーツ姿の蓮が、あたしの目に入った。
細身のスーツを着こなす蓮は、何度見てもかっこいい。
側から見ると、ホストみたいだけど……。
でも。
蓮の右手は、忙しなくスマホを弄っている。
あれも、あたし以外の女の子にメール送ってるのかな。
確証のない思い込みなのに、胸がぎゅっと締め付けられる。
今からあたしと会うのに、他の女の子のことなんか見ないで。
そんなこと思っても、彼女でもないあたしは、口には出せない。
胸の痛みを隠して、
「蓮、お待たせ!」
そう、笑顔で声をかけた。
「……あ、久しぶり」
スマホの画面から目を移し、蓮があたしを見る。
「行くか」
「うん……」
スマホをポケットにしまい、蓮は歩き始めた。