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本日もエロ日和なり
第16章 その16
田中さんは仮名である。
皆適当に名前を付けて呼び合うのだ。
出身地も年齢も訊ねない。
俺は本名の〔高崎洋次〕【タカサキヨウジ】を忘れてしまうほど…
ここでは中谷【ナカタニ】さん(仮)と呼ばれている。
一昨日から妙なことが起こっている。
夕方過ぎ、いつものように駅の裏道にあるゴミ捨て場に通っていた。
「ねぇ、スミマセン」
最近耳にしていない甘い女性の声がして振り返る。
人通りなど皆無のこの裏道。
コンビニが近くに有るためか、時折自転車の人が弁当箱をゴミ箱に捨てていく。
「………なんですか」
若い女性が立っている。
「あの、不躾でスミマセン。
描かせて貰えませんか」
何を言っているのか分からず、
またゴミ箱に手を伸ばすと「ねぇ!ちょっとおじさん、
聞いてるの」
と腕を掴まれた。
「……なんだい、君は」
「わたし、あなたを描きたいと思いました。
スミマセンがスケッチさせて貰えませんか?1回に千円払うから、…ダメですか」
少々頭のイカれた子なのだろうか。
「お願いします。
描かせてくれるだけでいいんです。
これ、良かったら……」
と弁当を差し出された。
俺は真新しい具材の詰まった弁当を見てにわかに空腹を覚え、
奪い取るようにしてがつがつ食べた。
皆適当に名前を付けて呼び合うのだ。
出身地も年齢も訊ねない。
俺は本名の〔高崎洋次〕【タカサキヨウジ】を忘れてしまうほど…
ここでは中谷【ナカタニ】さん(仮)と呼ばれている。
一昨日から妙なことが起こっている。
夕方過ぎ、いつものように駅の裏道にあるゴミ捨て場に通っていた。
「ねぇ、スミマセン」
最近耳にしていない甘い女性の声がして振り返る。
人通りなど皆無のこの裏道。
コンビニが近くに有るためか、時折自転車の人が弁当箱をゴミ箱に捨てていく。
「………なんですか」
若い女性が立っている。
「あの、不躾でスミマセン。
描かせて貰えませんか」
何を言っているのか分からず、
またゴミ箱に手を伸ばすと「ねぇ!ちょっとおじさん、
聞いてるの」
と腕を掴まれた。
「……なんだい、君は」
「わたし、あなたを描きたいと思いました。
スミマセンがスケッチさせて貰えませんか?1回に千円払うから、…ダメですか」
少々頭のイカれた子なのだろうか。
「お願いします。
描かせてくれるだけでいいんです。
これ、良かったら……」
と弁当を差し出された。
俺は真新しい具材の詰まった弁当を見てにわかに空腹を覚え、
奪い取るようにしてがつがつ食べた。