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本日もエロ日和なり
第19章 その19
「亜弥」

「何よ」
顔を晴樹のほうに向けたら、
頬にチュッとキスをされた。

「……ちょっと、
誰かに見られたらどうするのっ」

「ははは(笑)構わないよ」

会社の人たちも、
晴樹のご両親もお姉さんも交際を知っている。

姉・沙苗【サナエ】さんに至っては、
「もうこの家に住んじゃえばいいのに」と言ってくれている。


(……言わないほうが良いよね)

隠し事、という程ではないが……


実は亜弥、
1ヶ月前に顧客の内の1人・白木竜二【シラキリュウジ】と言う男性からアプローチを受けた。


その男性は税理士で、
多忙過ぎるため勤めている個人事務所へデリバリー食材を頼んでいるのだ。


もちろん即座にお断りをした。
「交際してる人がいるので」と。


しかし亜弥もいい年齢である。
早くに結婚している友人の中では、既に子供が2人居る子もいた。
安定した生活の中で子供を育てているのを見ると羨ましくも感じるのだ。


白木さんという顧客男性は、
見るからに『出来る人』と言う風貌だ。
税理士になるくらいだから、
学もある。
上質なスーツに身を包んで、ブランド物の銀縁眼鏡をかけて食材を受けとる時にも2、3気の利いたジョークを飛ばす。


断った時も、
「なんだ〜〜〜。
やっぱり綺麗な女性には素敵な恋人が居るんだね(笑)……でも諦めませんから」と付け加えられて、


正直ときめいてしまった。

週4日ほど届けている太客だ。

食材を受け取りながら「事務所のキッチンで作ってるんですよ〜」
と爽やかに笑っていた。


………晴樹は料理は全く出来ない。



(比べちゃダメなんだけどね)


哀しきかな、
現実的に考えてしまうお年頃………
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