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第21章 その21

―――自分でもどうかと思う。


未歩にバレたら只じゃ済まない。

オレは左手薬指に光る指輪を女性に見せながら、
『お礼がしたい、
連絡先教えてください』と誘った。



女性はびっくりしていたが、
「ああ、はい。
いいですよ」とまたにっこり笑った。





―――………
そして翌週。

平日の夜。


（簡単なもんだなぁ）


拍子抜けするほど、
浮気とか不倫というのは相手との意志が合致すれば直ぐ出来るんだな。


オレは先週土曜日にショッピングモールにて奏多にアメをくれた女性……
三澤夕夏【ﾐｻﾜﾕｶ】23歳と郊外のラブホテルに居た。


連絡先を教えてもらい、
日中の仕事中に連絡を入れた。
「お礼がしたい。
食事でもどうですか？」
と誘うと、
建築事務所で営業事務をしているという夕夏はあっさり「じゃ、
洋食連れてってくださぁい」
と乗ってきた。



夕夏はショッピングモールがある市の更に2つ隣の市に1人暮らしをしていると言う。

見る限り、
嘘ではなさそうだ。事務服にコートを羽織った格好で待ち合わせ場所に現れた。

レストランへと連れていくと話が弾んで打ち解けた。

「彼と別れたばかりで、
友達にも逢いたくなくて。1人で買い物していたの。そしたらお子さんが可愛くて、
癒されました(笑)」