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本日もエロ日和なり
第29章 その29
またタトゥーの数が増えている。胸の上側に花模様みたいなのがある。

一度目は20歳のとき。
二度目は26歳のとき。


結婚した年じゃなく、
離婚した年齢だ。

(一体どこの民族なんだよ)とツッコミたくなる、
タトゥーに鼻ピアスに髪の色。舌にもピアスがある。
一ヶ月前は緑色の髪だったから、まだマシか。


僕は(早く帰れ)と念を飛ばす。

邪魔である。あと40分しかない。
___今夜のために、残業を重ねて仕事を片してきたのだ。
毎日日付が変わるまで働いた。
疲れからうっかり寝ちゃうとこだったけど。


『ケンカじゃねぇわ、プチリフレッシュ』
グビグビとビールを飲み干し、
『ぷはー!!あ~、うめぇ』と手首で唇を拭く。


タイミングが悪い。
今日じゃなくて良いだろうに、というか友達のトコに行けばいいのに。

『か、帰って寝たほうがよくない?
ほら、俺の部屋臭いし』
僕は遠回しに姉を追い出そうとする。

なぜか姉の前では「俺」になる僕。


『あ?
アンタまさか帰れって言ってんの?』
姉の瞳が据わって、僕を睨む。つけまつげっつうのは烏の羽のようだ。
彼女みたいに自然な美しさがない。

『いや、そういうワケじゃなくてですね~』


『じゃあ何だよ?たまのお姉様の来訪を喜べ』
姉は立ち上がり、
ソファーの上でピョイピョイッと跳ねた。

____来る。

素早く体を倒したが、
姉の足は僕の腰を思い切りキックした。

どすん、と僕の上に乗る。同時に鼻をつままれ、捻られた。


『……………………ふみまへんれした……………』姉の香水の匂い。たまの来訪って、あんた先月末も来たじゃんか。
痛みに体を曲げ、
小声で謝る。

姉は13歳くらいからギャルだ。
僕にはヤンキーにしか見えないのだが、
本人はギャルだと豪語する。
ショップの販売員をしており、
自己申告では〈カリスマ〉らしい。



___困った。

頻繁に旦那と揉めては家出し、
僕のアパートに来る姉(イジメ甲斐があるからだろう)。

大体明け方まで帰らない。

こないだ来たから、しばらく来ないはずだと油断してた。



















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