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第29章 その29

『あれさー？あたしもできっかなぁ？』
テレビ画面を指さす。


見ると、メダルを獲得したらしい体操選手の決勝戦が映っている。


『簡単そうじゃんね？
捻って跳ぶだけっしょ～』
ガハハと笑う。




いや、ムリムリ。
絶対ムリ。
あの会場に居るのは世界中で一握りの人たちだから！
無駄に身体能力高いだけのあんたはムリ。





僕は焦りから悪態をつく。



口に出さずに。




『でひるんじゃないすかね…………』


『だよねー？』
姉は僕の上から「ほっ」と降り、
カーペットに座り込む。