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本日もエロ日和なり
第29章 その29
『ねぇ、ツマミないわけー?』


僕は起き上がると無言で棚からナッツ類を出した。
『おー、先に出せや』パシッとまた叩かれた。


思案する。

これは帰りゃしないな…………


テレビ画面を観ると、
1時半。

あと30分しかない。

『姉ちゃん、これ飲む??』
仕方ないと踏んだ僕は、
策に出る。

冷蔵庫からウイスキー、テキーラの瓶を取り出した。

僕はアルコールはイケるクチだ。

度数が高いものを選び、
グラスも出す。自分用のバカラのグラス。仕方ない、あの子のためだ。

『お?どしたの、たまには気ィ利くじゃん!!モテないくせにやるね』
一言多い。

姉は途端に上機嫌でグイグイ飲み始めた。

僕は空いたグラスにウイスキーを注ぐ。

氷を足しながら、
下僕よろしく動く。


*******************
『トウッ!!』
ベロンベロンに酔った姉は、
跳馬の真似なのかソファーの背もたれを飛び込えた。

そのまま、
床にどすんと落ちる。明日あたりまた下階から苦情がくるだろう。
『…………いっだぁ~……………ぃ…………zzz』

イビキをかいて眠る姉。

『はあ~、やっと寝た…………』
僕は姉の足首を掴むと、
ずるずる引きずりマットレスの上に投げた。

『……_うぅ~~~ミツキのドアホ~~~』
姉が涙声で唸る。
やっぱりケンカじゃん。

僕は姉を見下ろすと、
『ぜーったい、2時間は起きるな』と呟く。

白いミニスカートからだらしなく伸びた脚。

腹いせにスカートを捲り、
スマホでパシャリと一枚撮っておく。

僕はクーラーの温度を下げる。

キャンドルに火を灯す。
部屋の灯りを消した。
薄暗い。
そーっと、
本棚のカーテンレールを捲る。

『…………波月【はづき】たん、………』


波月はこちらを観ていた。
いつも通り、少し辛そうな、
心細げな目をして。


白く細い体に、
紫の着物姿。
漆黒の髪が宙で渦巻いている。











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