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初めて知る痴愛の味
第2章 先生ということを忘れて
私は学校が終わるとすぐに帰宅した。


始業式のためにいつもより丁寧にアイロン掛けをしたスーツ、ネクタイ、Yシャツ
これらを脱ぎ、外出用の服装に着替える。


自宅の鍵をしっかりと閉め、再び車に乗り約束のレストランへと向かう。



そこで待っていたのは
生い立ちを知らず、結婚しているのかも知らず、名前さえ知らない女性だった



では初めて会った人なのかと問えば5・6年の付き合いである




きっかけは30代
もっと結婚に対して前向きだった自分が
利用していた出会い系サイトでの知り合いだった



でもこの出会い系サイトで結婚相手を探していたのかというと実は違う



ただ単に仕事のことや人間関係のこと、これからの人生のことなどを聞いてくれる女性と知り合いたかったのだ


風俗という手もあるのだがこれは自分が先生であるという意識が働いてしまう



もし風俗から出てくる姿を見られたら、という怖さもあったのでやめておいた


出会い系サイトなら自分が女性とレストランで食事している姿や
買い物帰りを見られるだけなのでこちらを選び、



そこで出会ったのが今
目の前に座っている女性だった



先ほど名前さえ知らないといったけれども趣味や行きつけのお店などは
話をしていくなかで詳しく知ることとなった


彼女のことについて詳しく聞こうとは思わないし、向こうも自分のことについては詮索しないというのが暗黙の了解であった



親しいという実感はあり、


実際彼女を目の前にすると
自分は饒舌になるし興味津々で話を聞こうとしているのだった


傍目から見れば
もう結婚している夫婦が何かの記念にレストランで食事をしているのだろう


そう思っても不思議ではない



ただ自分にも相手にも恋愛感情が無いのだ



自分は寂しさを晴らしてくれる相手が欲しかった


仕事で同僚と話す機会はたくさんあったのだが
その頃の自分はそれだけでは満足できず
寂しさに負けてしまいそうだった


永遠とこんな日が続いていって
いつかぽっくりと死に、
誰にも見送られることなく存在さえなかったことになってしまうのではないかと


自分の今まで生きてきた苦難や喜びを全て否定されるかのような恐怖に襲われた



そこに性欲を満たしてくれる相手を欲しがっていた彼女が現れたのだった。





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