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初めて知る痴愛の味
第12章 昭雄先生
夏休みは近づいてきて、それと共に彼女もテストの準備もしなければいけなくなってきた

柏尾菜々は先生のことが好きである
でもそれを抑えきれなくなるということは無かった
何故かと言えば、既に思いを相手に告げたことであった
返事がどうあれその後の態度など期待外れではあったがなによりも言葉にしたということが変形しやすい心には大きかった
このこともあったが、更に彼女自身が喉奥で思いを留めること、昭雄に伝えることを躊躇うようになったことで不満足な理解をしていたことにあった
だから彼女の想いは溜まっていき、それを発散する為に自らを揺らしていた

部屋の窓から床に降り注ぐ陽と反射された光の重なったカーテンを浮かび通る埃や、薄い人参色の景色がその頃の彼女には手で味を覚える行為の象徴であった

その頃から彼女は学校の自分と一人きりの時の自分の差異を意識していた
だからといってどちらが嫌いだったりすることは無かった
学校では友達と話しているときは昭雄先生のことを考えなくてもよかったし、暗黙の内に二人だけの秘密を一人だけで守る様になってしまったという感覚になっていた彼女は笑うことがこんなにも体を軽くするんだということに驚愕していたのだった

だから快楽だけでなく笑いの虜ともなっていた
なので学校が早く終わり、友達と遊ぶこともないテスト週間中はあまり好きではなかった

そしてテストが終われば友達と遊ぶ約束をし、学校でも話し、自然と彼女の中にあった昭雄への返事に対する不信感と言うのも気にしなくなっていたし、彼女自身も不安はすっかり無くなったのだろうと思っていた

テストの返却も終わり、ついに夏休みに入るが両親の仕事の忙しさは変わらず、自然とひとりぼっちで家に居る時間が増えていたのだった
友達と買い物に行くことなど何度かしていたが帰って来ても迎えてくれる存在はいない
柏尾は友達との楽しい時間を過ごすたびに家の静寂が強調されるような気がしていた
それでも彼女は理性が強かった

夏があけてからのことも考えて着々と勉強を進めようという意識があったので両親のどちらかが返ってくるまでずっと自室の机に座っていることも珍しくなかった

それでもこの寂しさは柏尾が理性で大人だからと我慢するには強すぎた
その点で言えばまだまだ子供であったのだ

明りが消えた自室で指が動く度に荒くなる息は夏の暑さで艶を増していく
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