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初めて知る痴愛の味
第13章 枯れる花と咲く花
10月から続いている温度の下降はそれほど急では無いのに11月になると風が強くなってきていて自然と肌で感じる気温はかなり低下したのだと思った

私も学校へ向かう時は当然朝の時間帯であり、この時期になると太陽が昇るかどうかという空であるから暗さも相まってコートの必要性が強調された


最近仕事のことを頭の中で考えるということが無くなってきていて、こんな歳であるのになんだか不思議な気持ちであった

では休みの日はどんな様子なのかと言えば、ただ学校へ行って仕事をするという時間が無くなっただけの、決して楽しいと思えるような過ごし方はしていなかった

なにも考えず歩を進める自分の足を眺めていたら不意を突くように強い風が音を立ててぶつかって来た
思わず首を竦め、歩く速さも遅くなってしまう


水品昭雄はこの頃になるともう先生であるという自覚をほぼ失っていた
なぜ「ほぼ」なのかと言えば彼は生徒のことを生徒としか見ていなかったからだった

でもそれ以外の、例えば振る舞いは以前の彼と比べてみれば常軌を逸していた


この異常事態に周りの先生が気づいていたのかといえば全くそんなことは無かった
普段と変わらず、真面目に先生という仕事をする同僚、上司、後輩という見方しかできていなかった

それでも柏尾菜々はこの異変に気付いていた
異変に気付いて、そして直接話をしてみる
直接話をすることによって柏尾菜々は一つ気づいたらしい

それはこの異変に昭雄自身が気づいていない、若しくは問題視していないということであった
その異変とはなんなのか?
そう聞かれても恐らく困るだろう
なぜならば水品昭雄の学校での先生としての振る舞いは実際なにも変わったことが無かったからであった
これはある程度水品昭雄と話をして、そして、注意して見て初めて何か些細な違和感を感じるという程度であったからだった

でも仕事をしていない、先生としてでない水品昭雄であれば明らかに違うと分かったであろう
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異性と触れ合う為であるなら恐ろしいほどに貪欲であった
元々、老後の為、と思い意識的に使わず貯めてきたお金は彼の常に満たされない欲を紛らわせるために使われ始めていた

この先のことを考える
学生時代こんなことにずっと時間を使っていたし、悩まされていたのに少し前の彼自身も退職した後のことで悩んでいた
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