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ドアの隙間
第3章 孤独な人
バタンッ、という階下からの物音で目が覚めた。夫は隣でいびきををかいている。私はカーディガンを肩に掛けて階段を降りた。
グレーのコートに義母が編んだマフラーを巻いたまま、義父が玄関に座り込んでいた。

「お義父さん」

「…………」

「お義父さん、起きてください。そんな所で寝たら風邪ひきますよ」

「あぁ」

義父は靴を脱いでなんとか立ち上がり、私の肩につかまりながら寝室に入った。ベッドに座り込み、また寝ようとしている。

「お義父さん、マフラー外しますよ」

「あぁ…ありがとう。葉子」

義母の名を呼んだ。私は胸が熱くなったが、俯いた義父の前に屈み、コートのボタンを外して脱がせた。

「今日は楽しかったよ。久しぶりに笑った」

「よかったですね」

「あぁ、友達というより悪友だよまったく。……ネクタイがきついな、頼むよ葉子」

私は黙ってネクタイを緩めた。

「葉子……」

…えっ?

義父は私の両手を掴みベッドに押し倒した。

「ま、待って…お義父さ……ぅっ!」

煙草と酒の匂いの交じった唇が私の口を塞いだ。

息ができなかった。
私の身体の上にのし掛かり、両手で私を掻き抱きながら、義父は逃げようとする私の舌を捕まえ、執拗に絡ませ、吸い付き、めまいがする程のキスを浴びせた。

「……や、やめて、やめて……ち、ちが……」

「葉子……」

義父の身体が熱かった、激しいキスを拒めない。頭が真っ白になり気が遠くなりそうだ。
義父は熱いキスを繰り返しながら、もがく私の下着の中に手を滑り込ませた。

……っ!

一瞬だった。

指が私の中にスルッと入ってきた。私は濡れていた。何も出来なかった。熱い息と唇、激しい鼓動と動き回る舌が、私を動けなくしていた。

指が、私の中で動く
義父の、義父の太い指が…
膣を擦り、浅い場所にあるそこを的確に探り当てる。

だめ、だめぇ……

二本の指は、理性を捨て去りたくなる動きで私を痺れさせ、恥ずかしい程の水音を辺りに響かせる。
ショーツが下げられていく。

我に返った。

「や、やめて……違う……な、奈津美……ああっ……」

「葉子……そろそろか」

ぐしゅぐしゅとこそがれるそこは、理性を忘れてとろけきっていた。





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