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ドアの隙間
第3章 孤独な人
「あぁっあぁっ…だめぇ、あっあっ…あぁっ……」

義父の指を、膣が勝手に締め付けていく。腰がはね、身体が勝手に駆け上がる……

指が止まった。

義父は唇を離し私の顔を見つめた。その顔からみるみる血の気が引いていった。指がそっと抜かれた。

「あぁ……なんて事を」

義父は呆然とする私を座らせ、そっと抱きしめた。

「ごめん、……悪かった、すまない……ごめん……」

私は訳のわからない感情が溢れだし、泣き出してしまった。義父の胸に抱かれておいおい泣いた。子どものように泣きじゃくる私の頭を撫でながら、義父はずっと謝っていた。

父親というものに触れてもらった記憶がなかった。手を繋いだ事も、髪を撫でられた事も抱き上げられた事も。
私は、義父にすがりついて泣きながら、惨めだった幼い頃の記憶も一緒に、涙で洗い流しているような気がしていた。
落ち着いてきた私の耳元で、義父が言った。

「出来るものなら……私を……許してほしい 」

「もう、許しています」

私は答えた。
義父は心配そうに私の顔を覗き込み、私はそんな義父を見つめた。

「大丈夫?」

私は頷いた。

「つい、葉子だと……ほんとに、なんてバカなんだ」

「いいんです」

「悪かった」

「どうして……、お義母さんじゃないと気付いたんですか?」

口をついて出た言葉に私自身が驚いた。

「えっ?」

「いえ、いいんです。……お義父さん、寂しくないですか?」

「寂しい……」

「………」

「あ、いや……私は大丈夫だ」

「本当に?」

「あぁ、心配ない、今日は飲み過ぎたんだ」

「……私、部屋に戻ります」

「奈津美さん、すまなかった」

「平気です」

「もう、この部屋に来てはいけないよ。」

「………」

「いいね」

義父は優しく言ったが、目は強く訴えてきた。

「……はい」

立ち上がろうとしてふらついた私の腰を、義父はしっかりと受け止め、私は慌てて義父から離れた。

「おやすみなさい」

「おやすみ」

部屋に戻り、寝ている夫を確かめて静かにベッドに入った。
義父の重みが身体に残っている。激しいキスが唇に残っている。指がまだ中でうごめいているようで、私は自分を持て余す程疼いた。
夫が寝ている横で、私は自分の下着に手を入れた。


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