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ドアの隙間
第4章 頭と心と身体
「だったら早く再婚してください! さっきのあの綺麗な女性はどうですか? 私は悟史さんの妻なんです、こんなの間違ってる、私の事なんかさっさと捨て……」

唇を塞がれた。

「ぃ、いやっ」

「奈津美さん」

私は壁に押し付けられ、唇を塞がれた。抱き締めてくる。

「さ、触らないで、私に触らないで! 」

「再婚なんてしない。意地悪を言っただけだ」

私は、義父に恋をしていた。今はっきりとわかった。義父の温かな胸の中で、自分の胸の鼓動を聴いた。

この人が好きだ……

私の顎を引き寄せ、唇を合わせようとする義父の目を見つめた。

「どうした…」

ううん、と微笑んだ。

お義父さん、私だけにキスをして。他の誰にも触れないで……

背伸びをして義父の頬に手を伸ばし、唇を重ねた。舌を絡め義父の匂いを確かめる。煙草と酒の……

「抱くよ…」

小さく頷いた。

「そこで…脱いでくれないか」

「え……」

「見たいんだ」

私の後ろには、夜空と夜景が広がっていた。

「カーテンを閉めてもいいですか?」

「だめだよ」

「……向こうを向いてください」

「それもだめだ」

「どうしてそんな事をさせるんです」

「いつ」

「えっ?」

「次に君を抱けるのはいつだ」

胸が苦しい。
私はスカートを床に落とし、靴とストッキングを脱いだ。上着を椅子に掛け、ブラウスのボタンを外した。
義父は一人掛けのソファーに座り、ネクタイを緩めて私を見ていた。

「全部脱いで」

私は下着姿で立っていた。

「でも……」

「脱ぐんだ」

キャミソールを脱ぎ、ブラジャーとショーツだけになった。恥ずかしくて俯く私に義父が言う。

「脱ぐんだよ、ゆっくりとね」

背中に手を回してブラジャーを外し、胸を抱きしめるように隠す。顔を上げる事ができない。泣きそうになる。

「奈津美さん…」

「いやです、もうできない」

義父は私の前に来て両手を下ろさせた。

「綺麗だよ」

……あなたが好き

義父は私の両手を背中に回し、首筋に舌を這わせる。

「ぁ…」

「……ごめん」

「えっ?」

義父は私の両手を、何かで縛ろうとした。

「な、何をするんです! やめて…いやっ…離して! お義父さん! 」

手際よく両手を縛り終えると、義父は首を振る私の顔を両手で覆い、激しく唇を奪った。

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