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ドアの隙間
第5章 女の影
だが、クリスマスプレゼントを考えてくれている夫の言葉が、私を落ち着かせた。その日は家族団欒で過ごせる。
部屋を覗いてみたい気持ちを押さえ、階段を降りた。


シャワーを浴びながら思う。夫はまだ終わらせていないのだと。
夫を取り戻したい。今の私にできるだろうか。あんな女に負けたくないという、妻の意地だけではないのか。義父に触れてほしいと願っている私が、夫の浮気に苛立っている……
自分の気持ちがどこに向かっているのかわからなかった。このまま夫だけに抱かれていれば、義父を忘れ、後ろめたさもなくなるかもしれない。真っ直ぐに夫と向き合えば、彼は目を覚ます。もっと甘えさせてあげれば、何もかもが元に戻る。
義母が亡くなってから、私は忙し過ぎた。ぽっかりと空いた彼の心の穴を埋めるのは私だ。
クリスマスプレゼント……、夫に何を渡そうか。


バスルームを出て階段を上がりかけた時、肩を強く掴まれた。

「……っ!」

口を塞がれ、腹部には手が回ってきて後ろへと引っ張られる。

「う、うぅっ……」

義父だった。

「悟史に何をされた」

耳元で冷たい声が聞こえる。

「んんっ……」

私は義父の部屋に引きずられるように連れていかれ、ドアが閉じられた。
ベッドに押し倒される。

「あっ……」

薄暗い部屋で、義父の冷たい目だけが責めるように私を見つめていた。
怖かった。

「ご、ごめんなさい…」

ただ怖かった。義父は私の上に乗り、私を見下ろしながら脱ぎはじめた。

「や、やめて……」

義父がやめた事など一度もなかった。

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