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ドアの隙間
第8章 ひとり
ひとり分の食事など出来合いの惣菜が一品あればよかった。食器を洗い、 シャワーを浴び、今日の疲れを洗い流す。
ぐったりと眠りにつける夜は殆どなかった。一度家庭というものを知ると、ひとりが平気だった頃の自分には戻れない。孤独感が増し、日を追うごとに失ったものの大きさを痛感する。義父が恋しい。

今なら誰を愛しても許される筈だ。 誰に抱かれても構わないはずだ。
彼が私の心に残した愛情と、この身体に刻み込んだ熱いうねり。義父との交わりを思い出す度に身体が火照った。

ホテルの鏡に映った淫らな女、義父の指、唇、舌。私を恥ずかしい行為に駆り立てる妖しい囁き……

――開いてごらん……もっと、もっとだ

ベッドに寝そべり義父の声に耳をすませる。膝を開き、乳房を握りしめ、疼く亀裂を縦になぞった。

指が義父の指になる。

――綺麗だよ

「あぁ……」

花弁を割って擦り、蕾を捏ね回すと腰がひくひくと反応する。

――まだだよ

滴る蜜を絡めて指を差し込むと、待っていたように熱い肉がしがみついてくる。
腰をくねらせ、突き上げる。

「あぁっ……あぁっ……」

お義父さん
お義父さん
あなたが欲しい……

「もっと、もっと……あぁっ……い、イクっ…イクっ……うぅっ、あっあっ…あぁっ…………」

自分を慰めた後の虚しさは、一人寝の寂しさ思い知る。

誰でもいい、私を満たしてくれるなら。
私を押さえつけて、私を汚して……

深いため息は浅い眠りの始まり。愛を掴もうと手を伸ばしたまま、闇に落ちていく自分が見える。



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