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カワリバンコ
第1章 発端
「そうよ、何が不満なのよ……? 家は大きな一戸建てだし、クルーザーも持ってるし、子供もいるし、私に言わせたら、クミちゃん贅沢だわ」
リエちゃんが少し怒った口調で言いました。
リビングで夕食あとに、ワインを飲みながら三人でそんな話になったのです。
リエちゃんたちは、2LDKの小さな賃貸マンションに住んでいました。
二人にはまだ、子供がいません。
でも、前に、トモ君の方に、その理由があるようなことは、ちらっと聞いていました。
「私たちなんか見て、私はスーパーのバイトだし、トモ君はしがないスポーツジムのインストラクターよ」
「“しがない”は、スポーツジムに付くのかい、それとも俺の方?」
「どっちでも同じよ」
リエちゃんとトモ君は顔を見合わせて笑いました。
二人の会話は万事がこの調子でした。
リエちゃんが少し怒った口調で言いました。
リビングで夕食あとに、ワインを飲みながら三人でそんな話になったのです。
リエちゃんたちは、2LDKの小さな賃貸マンションに住んでいました。
二人にはまだ、子供がいません。
でも、前に、トモ君の方に、その理由があるようなことは、ちらっと聞いていました。
「私たちなんか見て、私はスーパーのバイトだし、トモ君はしがないスポーツジムのインストラクターよ」
「“しがない”は、スポーツジムに付くのかい、それとも俺の方?」
「どっちでも同じよ」
リエちゃんとトモ君は顔を見合わせて笑いました。
二人の会話は万事がこの調子でした。