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夏の出来事
第1章 玉ねぎ
タクミはかなり、息があがっている。
黙々と歩いた。
ちづる達の住む市営住宅に着いた。

「ハァ、到着っと。」

ちづる達の住む市営住宅に、エレベーターはない。
空き部屋が多く、人に出会う可能性はほとんどない。
タクミが階段を登る。
階段の半分きた所で、タクミは、ちづるを背負い治す為にちづるのお尻を腕でよいしょ、と持ち上げた。
身体を揺らされて強く、尿意を感じた。

「、、!ぅう、、ん、」

ちづるは唸った。

「あ、、ごめん。」

早く行かないと。
タクミはまた階段を登った。
やっと、玄関前に着いた。

「着いた!!」

タクミはハァ、ハァと、息があがっている。
ちづるをそっと、おんぶから下ろした。

「鍵は?バッグの中?」

「うん!貸して!」

ちづるは急いでバッグから鍵を探す。
タクミは心配そうに見守っている。
冷や汗が、額にうっすら浮かび上がっている。
太ももを股の間で擦り合わせている。
鍵を持つ手が少し震えていて、3、4回目でやっと鍵穴に入った。
限界が近いようだ。
ドアを開けると、すかさずタクミがドアを支えてくれた。

「あ、、ありがと、、」

「靴、脱がすよ。」

ちづるは玄関に入り、上半身を壁に預けた。
タクミは、なるべく静かに、ちづるの靴を脱がせてあげた。
が、やはり左足は痛かったようでちづるは

「、、う!」

と、唸った。

「肩、貸すよ。トイレそこでしょ?」

「、、、うん。」

あと数メートルなのに、長く感じる。
家に戻った安心感からか、ちづるは隣にタクミがいるにも構わず、右手で股間をおさえている。
また一瞬、ちづる身体がブルっと震えた。
今にも泣き出しそうな、必死の表情だ。
ちづるのグレーのTシャツは、所々、汗の染みができている。
タクミは、変な事考えるな、と自分に言い聞かせていたが、ちづるの姿を見てゴクンと唾を飲んだ。
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