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心掟
第2章 偶さか
彼女が口にした “ あの時 ”
彼にとってはさっぱりな話だった。
「 … どのとき? 」
「 やっぱり、覚えてないよね … 」
その言葉に何故か苛立ちを感じた。
君との出来事を覚えていない訳がない。
俺がどれだけ君の事を見てきたと思ってるんだ。
「 卒業式前。みんなで飲みに行ったこと、覚えてる? 」
「 あぁ、覚えてるよ。 」
「 あの時、君が言ったの 」
「 なんて? 」
「 私に向かって“ 何年たっても君が一番好きだ ”って言ったの 」
その言葉を聞いて驚愕した。
そんなこと言った覚えがない、と
ましてやその時彼には恋人が居た。
「 丁度私がお手洗いに立った時ね、君も一緒に行くって。 それで二人でお手洗いに向かった時、君が言ったんだよ。でも君には恋人がいたでしょう? あぁ、酔っぱらいだなって、それだけで済めばよかったんだけど … 」
「 どうしても忘れられなくて。 」
そう彼女が言い終えると再び視線が交わる。
ああ、そうとも。
そんなこと言えるのは酒に酔っている人だけだ。
全く記憶のない自分自身も恥ずかしい。
あの時彼女にそんなことを言ってしまっていたなんて。
何とした醜態だ。
ましてや覚えていないなんて。
完全に酔っていた。
酒にも。
そして彼女にも。
そして沈黙の中、彼のスマホが鳴った。

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