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心掟
第2章 偶さか


画面を見ると、恋人の名前が映し出されている。
正確に言えば、元恋人の名前が。
そう、二週間前に分かれた元恋人だ。

「 あ。もしかして彼女?いいよ、出て。私の事は気にしないで? 」

察知したのか、彼女は引き気味になる。
今思えばいつだってそうだ。

彼女は、気の使える子だ。
しかし相手を想うにも度が過ぎている気がする。
いつも他人の意見を尊重し、頼まれごとは断らない。
正確に言えば、断れない。のかもしれないが。
学生時代からそんな雰囲気はあった。


彼はその着信を切る。
それを見た彼女は目を丸くして彼を見上げた。

「 何で切るの?出なくていいの? 」
「 出なくていい。 」
「 なんで? 彼女困っちゃうよ? 」
「 君には関係ないだろ 」

思わず強い口調が出てしまう。
男の悪い癖だ。


「 そ … そうだよね、ごめん 」


彼女の声が震えているのがわかった。
平然と再び料理に手をつける彼女だが、どことなく違和感を感じる。


「 悪い。別れたんだ、もう。 」
「 … へ? 」


真実を告げると彼女は目を丸くしてこちらを見上げた。
いつもの彼女に戻った瞬間だった。


「 そ、そうだったんだ。なんだか口出しして、本当ごめんなさい 」
「 いや、別れ位誰にだってあるもんだろ。」


さっきとは違い落ち着いた彼女の声。
そして再びオムライスに手を付ける。
きっとそこらの人間じゃ、この違いはわからない。
でも、俺には分かる。 
彼女の少しの変化に。


「 ところでさ 」
「 ん …― ? 」

首を傾げながらこちらを見上げる彼女。
出た、その可愛らしい “ ん ー? ” という返答。
口癖の様なその単語と目を丸くしたその表情。
そして俺は意を決して聞いた。


「 … 今日どこに泊まる予定? 」


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