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恋愛無双ーレンアイムソウー
第1章 12月初旬


山中の手が肌から離れたのも束の間
スポンジがトントンと肌を押していく。


「結子さん。肌、綺麗ですね。
スキンケアは何使ってます?」

「あ、大した物ではないです」


細い筆が睫毛の縁をなぞっていく。


「…内緒ですか?」

「いえ。そういう訳ではなくて…
面倒くさがりなのでニベ●のクリームを
顔に塗っちゃってます…」

「えっ」


山中の手が止まり、結子は思わず目を開く。


「それだけですか?」

「あ、はい。女子力なくて申し訳ないですが…」

「いや、ニベ●は優秀ですから」


再び筆が睫毛の縁を滑っていく。


「ビューラーで睫毛を挟みます」


人肌の温度に温められたビューラーが
睫毛と瞼を優しくも強く包む。


「熱くないですか?」

「大丈夫です」

「じゃ目を開けて下さい」


電動のホットマスカラが睫毛を押し上げて
ダマが残らずに綺麗に塗られていく。


「ホットマスカラなんて初めてです」

「僕も最初は驚きました。ホットって何?って」

「はははっ」

「よし。じゃまた目を閉じて下さい」


瞼の上にアイシャドウが塗られていく。

山中の手の動きで1色ではなく
何色も重ねて塗られてるのが分かった。


「あの、アイシャドウって1色じゃダメですか?」

「んーまぁ1色でもシンプルで良いと思います。
でも立体感や深みを出したいなら
複数の色がお勧めですかね~」

「なるほど」


結子が軽く頷くと少し太めの筆が眉に触れた。

眉の存在を確かめる様に丁寧に書かれていく。

次は頬に広い毛束が触れてチークが
クルクルと塗られていく。


「次は口紅なんで口を閉じて下さいね」


可愛らしいケースから口紅が沢山現れて
山中はその中から一つを選んだ。

元々の唇の色味を邪魔せず
それでも魅力を引き出す様な淡い色。


「口紅、沢山ありますね」

「希望の色とかあります?」

「いえ、特には。でも、その色は好きです」

「結子さんに凄く似合いますよ」


艶めく成分が配合されているのか
一瞬で唇がプルプルになった感覚。


ハイライトを少し塗って
パウダーをはたいて仕上げの様だ。


「よし。メイクはコレで終了。
次はヘアーをしま~す」


山中さんが結子の髪をブラシでといて
弾力のある泡の様な物を髪に馴染ませた。

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