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恋愛無双ーレンアイムソウー
第1章 12月初旬


「結子さん、普段はほとんど
メイクしないんですよね」

「あ、はい。恥ずかしながら……」

「いや、結子さん位肌が綺麗なら
逆に薄いメイクで良いんですよ」

「そう、なんですか?」

「大事なのはどんな風にメイクをするかです」

「どんな風に…」

「興味が湧いたらまた店に来て下さい。
メイクの仕方をお教えしますから。
今日は時間に余裕なくて無理なんで…」

「はい、ありがとうございます」


結子が頷くのを見て山中は満足そうに笑うと
瀬戸と言う名の女性の元へ椅子を運んだ。


「さ、立って下さい。次は服の番ですよ。
瀬戸さん、お願いします」

「了解。結子ちゃんだよね~初めまして。
私スタイリストの瀬戸です!」

「あ、初めまして。蒼井結子と申します。
よ、よろしくお願いします…」


結子が緊張気味に声を出すと
瀬戸は顔をクシャッと崩して笑う。


「緊張しなくても大丈夫だよ~。
さ、行こ行こ~」


瀬戸が結子の腕を掴んで
強引に更衣室へ連れて行く。

更衣室の中には先程見た服達の中から
いくつか選ばれた服が並んでいる。


「ちょっと失礼するね」

「えっ……」


瀬戸の声がした時には既に
腰を両手で掴まれていた。


「あ、あの…」

「うん。予想以上に細い……それなら……」


瀬戸が小さく呟いている。


「じゃあ、まずはコレから着てみよう」


手渡された服は淡いピンク色のセットアップ。

凹凸感のあるケーブル柄で
柔らかい表情を見せつつ華やかさを忘れない。

トップスのウエスト部分が締まって丈も短く
油断するとお腹が見えそうだ。

靴はバイカラーのフラットパンプス。

着替え終えて隔てたカーテンを開けると
瀬戸がニコリと微笑む。


「良い感じ。似合ってる!
倉田さんのとこに行くよ~」


瀬戸に続いて更衣室を出ると
皆、目を見開いている。


「やっぱり、似合ってないのでは…」


瀬戸にそう問い掛けていると
カメラを持った倉田が近付いて来た。


「うん、似合ってる。撮影に入ろうか」


いつの間にか個室の奥に準備された
森の中を感じさせるセットに目が留まる。


「素敵…」

「あの森に負けない自然体を見せてね」


倉田さんは大きく口を開いてニカッと笑った。

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