この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
恋愛無双ーレンアイムソウー
第1章 12月初旬
「結子さん、普段はほとんど
メイクしないんですよね」
「あ、はい。恥ずかしながら……」
「いや、結子さん位肌が綺麗なら
逆に薄いメイクで良いんですよ」
「そう、なんですか?」
「大事なのはどんな風にメイクをするかです」
「どんな風に…」
「興味が湧いたらまた店に来て下さい。
メイクの仕方をお教えしますから。
今日は時間に余裕なくて無理なんで…」
「はい、ありがとうございます」
結子が頷くのを見て山中は満足そうに笑うと
瀬戸と言う名の女性の元へ椅子を運んだ。
「さ、立って下さい。次は服の番ですよ。
瀬戸さん、お願いします」
「了解。結子ちゃんだよね~初めまして。
私スタイリストの瀬戸です!」
「あ、初めまして。蒼井結子と申します。
よ、よろしくお願いします…」
結子が緊張気味に声を出すと
瀬戸は顔をクシャッと崩して笑う。
「緊張しなくても大丈夫だよ~。
さ、行こ行こ~」
瀬戸が結子の腕を掴んで
強引に更衣室へ連れて行く。
更衣室の中には先程見た服達の中から
いくつか選ばれた服が並んでいる。
「ちょっと失礼するね」
「えっ……」
瀬戸の声がした時には既に
腰を両手で掴まれていた。
「あ、あの…」
「うん。予想以上に細い……それなら……」
瀬戸が小さく呟いている。
「じゃあ、まずはコレから着てみよう」
手渡された服は淡いピンク色のセットアップ。
凹凸感のあるケーブル柄で
柔らかい表情を見せつつ華やかさを忘れない。
トップスのウエスト部分が締まって丈も短く
油断するとお腹が見えそうだ。
靴はバイカラーのフラットパンプス。
着替え終えて隔てたカーテンを開けると
瀬戸がニコリと微笑む。
「良い感じ。似合ってる!
倉田さんのとこに行くよ~」
瀬戸に続いて更衣室を出ると
皆、目を見開いている。
「やっぱり、似合ってないのでは…」
瀬戸にそう問い掛けていると
カメラを持った倉田が近付いて来た。
「うん、似合ってる。撮影に入ろうか」
いつの間にか個室の奥に準備された
森の中を感じさせるセットに目が留まる。
「素敵…」
「あの森に負けない自然体を見せてね」
倉田さんは大きく口を開いてニカッと笑った。