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恋愛無双ーレンアイムソウー
第1章 12月初旬


「うーん。やっぱり笑顔が堅いねぇ…」


倉田は結子を見つめながら軽く息を吐く。


「すみません……」

「カメラを意識しないで
楽しい事を思い浮かべてみて」


ーーー楽しい事……ゲームしてる時とか?


シャッター音が続く。


「おっ少し良くなった。その調子~
結子ちゃん好きな食べ物何~?」

「あ、刺身です」

「刺身?…ぷっ……あ、ごめんね。
モデル達とは違う返答だったから。
刺身は何が好きなの?」

「サーモンとサバです」

「おぉ、良いねぇ。お酒は呑むの?」

「嗜む程度には…」

「お酒は何が好き?」

「梅酒と日本酒が好きです」

「俺も日本酒好き~」


シャッター音が止まって
倉田がカメラから目を離す。


「それじゃあ、刺身を食べながら
日本酒を呑んでるとこを想像してみて」


ーーーサーモンとサバだけを贅沢に盛り合わせ
刺身醤油にワサビを適当に馴染ませて…
片面を醤油に付けて口へ運ぶ…
刺身が口の中から完全になくなってしまう前に
お猪口に入れた日本酒をクイッと一口……
あぁ、良いなぁ。


「よし!オッケー!」


結子が素直に想像していると倉田の大きな声が
個室に響き渡った。


「瀬戸~服チェンジ!」

「分かりました」


瀬戸は結子を更衣室へ連れて行く。


「次はこっちにしようと思ったけど……
結子ちゃん、その服って自分で購入した?」


瀬戸が結子が着ていたワンピースを指差す。


「いえ。祖父が買ってくれました」

「なるほど。良いかも……
じゃ2着目は結子ちゃんの服にしよう」

「えっ…この服で良いんですか?」

「うん、とっても素敵」


瀬戸に誉められて何となく納得しながら
着替えて更衣室を出てセットに立つ。


「おっそれか。じゃー始めようか」


結子が軽く頭を下げると倉田の質問が始まった。


「結子ちゃん、その服好き?」

「あまり、好きじゃないです」

「何で?」

「着慣れてないし…上品過ぎて…」

「何で着慣れないの?」

「自分には似合わないと思うので」

「そっか。じゃあ、その服を買ってくれた人の
気持ちを考えてみて」

「…気持ち?」

「そう。その人は結子ちゃんに
どんな気持ちで買ってくれたと思う?」


結子は祖父の顔を思い浮かべる。

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