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恋愛無双ーレンアイムソウー
第1章 12月初旬
「よし、終了!皆、お疲れ様ー!」
倉田がカメラから目を離してニカッと笑う。
倉田が結子へ視線を戻すと
蕩けた表情を浮かべて座り込んでいた。
「瀬戸。結子ちゃんを揺さぶってやれ」
「はっはい!」
瀬戸が結子の肩を掴んで揺さぶってくる。
「結子ちゃん!しっかりしてー!」
「…はっ!!
あれ…?私…飛んでました?」
「え?」
「いや…ありがとうございます」
瀬戸に支えてもらいながら立ち上がる。
「撮影終わったよ、お疲れ様」
「お疲れ様です」
「今からパソコンで写真のチェックするけど
結子ちゃんも見ない?」
「えっと…今日は大丈夫です。
取り敢えず着替えたいです…」
「さすがに疲れたよね。
私はこっちにいるから
ゆっくり着替えて来て良いよ」
「ありがとうございます。着替えてきます」
結子は更衣室へ入って行った。
「瀬戸~」
倉田に呼ばれて瀬戸はパソコンへ近寄る。
パソコンを覗き込むと倉田がニヤリと笑う。
「原石だったな」
「ですよね」
「俺もそう思います」
山中が同調する様に頷く。
「つーか、写真って1枚だけ選ぶんだっけ?」
「あ、はい」
「それ3枚にしてもらえねーの?
3枚とも使った方が絶対いーよ!」
「…社長に相談してみます」
「おう、そうしな」
山中が電話をする為に個室を出て行くと
倉田はアシスタントと共に機材やセットの
片付けを始めた。
しばらくすると更衣室のドアが開き
結子が疲れた表情で出て来た。
「あの~倉田さん」
「ん?」
「その写真って後でいただけたり…?」
「あぁ、勿論。現像した分とDiscに写した分を
一週間以内に自宅へ送るよ」
「そうですか。良かった」
結子が安堵の表情を見せた。
「俺達はもう帰るから、山中くんに珈琲でも
淹れてもらうといいよ。今日はお疲れ。
結子ちゃんに会えて良かったよ。それじゃあね」
「倉田さん、瀬戸さん、アシスタントさん。
こんな素人の私に良くしてもらって
本当にありがとうございました!」
結子の顔を見た三人が
手を大きく振って帰って行った。