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恋愛無双ーレンアイムソウー
第1章 12月初旬
「勝手に話を進めないで!」
「日曜日は何か予定あるのか?
どうせ家にこもって過ごすだけだろうが」
「うっ…」
「それに今日は世話になったんだから
食事くらい行くのが筋だろう」
返す言葉がなくて黙り込む。
ーーーこんな時に…私にどうしても外せない
予定があったら…自信持って断れるのに!
「結子さん。俺と食事行くの嫌ですか?」
「…嫌ではないです」
「それなら行きましょうよ」
「…分かりました」
「偉いぞ、結子!」
結子の返答に先に父親が反応した。
「俺、凄く楽しみだなぁ」
「取り敢えず…連絡先交換だな。
二人共携帯を出しなさい」
結子が中々出さずにいると
父親が結子の鞄に勝手に手を突っ込んで
携帯を取り出し、山中と交換を済ませた。
「何でパスワード知ってんの…」
結子はガックリとうなだれてしまった。
「結子さん。今晩連絡しますね。では!」
そろそろ店に戻らないといけない山中は
笑顔を振り撒いて大●園を出て行った。
急に静まる個室
父親を見るとマイペースに食事をしている。
「ねぇ…山中さんの事お気に入りなの?」
「山中くん良い子だろ」
「確かに良い人やし食事も行くつもりやけど
異性としての興味はないよ」
「お前が興味あるのはゲームとマンガやしなぁ」
「うん。お父さんも知っとるやん」
結子がため息を吐く。
「…携帯のパスワードはカカシラブ」
「うっ……」
「パスワード簡単過ぎるやろ~」
「…変更しとく」
父親がふっと鼻で笑った。
「…俺はお前に幸せになって欲しい」
「え、幸せやけど。…お父さんは?」
「俺?」
「再婚したいと思わんと?」
「俺にはお前がおるけんなぁ」
結子の頭を撫でながら言う。
「私もう子供やないし、
良い人おるなら遠慮せんでいいよ?」
「うーん…確かに寂しく思う時もあるけど
やっぱり俺の奥さんはアイツしか無理だ」
「そっか……」
「結子。お前は俺より長生きしろよ」
「うん」
ーーーお父さんの中にはお母さんがいる。
どんなに時が経ってもそれは変わらない。
誰か一人を愛し続ける事は難しいだろうけど
そんな人と出会えたらきっと幸せだろう。
私をどうしようもなく突き動かしてくれる人は
この同じ時代にいるのだろうか。