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インスタントコーヒー
第11章 そして
先生は目を丸くする。
「そうだったのか…
俺は、アヤが欲しいのは温もりだけだって
ずっと思ってた」
「先生の温かさも、優しさも全部好きでした。
でもずっと言えなかったんです。
小さい頃父の浮気を目撃して以来
恋愛っていうのが怖くて。
好きっていうと、先生が私から
離れてっちゃうんじゃないか、とも
思ってました。」
「俺…元カノに優しくしたのは
気の毒とかかわいそうとかっていう
思いがあったからだった。
でも、アヤは違った。」
頭がふわっとする。
アルコールのせいか、
ちょっと暑いせいか、
わからないけれど。
「俺、アヤのこと、ずっと女として見てた。」
言いようもない気持ち。
やっぱり私を包み込んでくれていた先生は
嘘じゃなかった。
先生の顔が滲んでよく見えない。
「泣くなよ」
先生は、細くて綺麗な手でわたしの頭を撫でた。