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インスタントコーヒー
第3章 再び

たまらず家を出た。

あんなにお母さんを愛しているように見えた修二さんにも別の女の人がいる。
お母さんは、昔自分があんなに傷つけられたことを、今度は自分でやっている。

悲しかった。

そして怖かった。

修二さんが。
お母さんが。
人を簡単に悪魔に変えてしまう『恋愛』が。

今のわたしにはにわかに受け入れられない事実だった。

あの時と同じように涙がドバッと溢れる。

私は自分は多少は立ち直ったと思っていた。
昔より色々なことを我慢できるようになった、
大人になったと思っていた。

全然変わっていない。

あのときと同じ気持ちだ。
行き場のない、言いようもない悲しみと恐怖とが渦巻くドロドロとしたものが胸の奥で大きな塊のようになっている。
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