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インスタントコーヒー
第3章 再び
絶望感しかなかった。
あの時と同じ河原でひとしきり泣いた。
あの時とはちがって車の音すらなくて、虫の鳴き声と、風で揺れる雑草が擦れ合う音と、ザアザア流れる川の音だけが闇のなかに溶け込んでいく。
このまま自分も一緒に闇に溶け込んでしまいそうだった。
おもむろに歩き始める。行くあてはもちろんない。
あの河原にあれ以上いると、自分が何をするかわからなかった。
フラフラと土手を上がって川沿いの道を歩く。
真っ黒の中に、滲んだオレンジの街灯が揺れている。
その時。
「アヤ!」
急に聞き覚えのある声が耳に飛び込んできた。