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インスタントコーヒー
第3章 再び
河原にかかった大きな橋を渡ってすぐの新築マンションに先生は住んでいた。
先生の部屋は一人暮らしにしては広く、物が少なくこざっぱりとした、先生らしい部屋だった。
「そのソファー、座っときな。」
「今コーヒー買ってきたから入れるよ、飲めるか? インスタントだけど…」
「はい…」
先生は下げていたコンビニの袋からインスタントコーヒーを取り出した。
そっか、先生コンビニ帰りだったんだ。
スーツ姿しか見たことなかったから
スウェット姿の先生はなんだか新鮮だった。
先生はコーヒーを2人分淹れ、
私の横に座って、はあっと一息つく。
「そういえば俺、いっつもブラックで飲むから砂糖もミルクも切らしてる。ブラック、飲めるか?」
ブラックコーヒーなんてほんとは飲んだことなかったけど、無理なんて今さら言えない。
恐る恐る口に含むと、舌がジーンと痺れた。
熱くて、すごくすごく苦かった。
この苦さが今まで心の中にあった塊を吸い込んでいく。