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インスタントコーヒー
第1章 トラウマ
家に帰り、鍵を回す。
「あれっ、あいてる…」
お母さんもお父さんも仕事なはずなのに、閉め忘れたのかな…
家に入ると真っ暗だった。
しかし、自分の部屋のある2階への階段を上がると微かに物音がすることに気づいた。
もしかして、ドロボウ…?
かくれんぼで鬼が近づいて来た時みたいに、心臓がドクドク動いた。
ほんとにドロボウだったらどうしよう、包丁とか持ってたらどうしよう…
足音を立てぬようそーっと暗い廊下を歩く。
物音がする両親の寝室の扉を少し開いた。
ベッドのなかに2人いた。
「お父さん、お母さん、お仕事は?」
と口を開こうとしてはっとした。
服を着ていなかった。
しかもベッドの中にいた女の人は栗色のロングヘアーの人で、全く知らない人だった。お母さんじゃなかった。
もう1人はよく見えなかったが、その女の人がか細い声で「しげるさん、しげるさん…」と呼ぶので、お父さんだとわかった。
唇を重ね合わせ、クチャクチャと音を立て、そのうちベッドをギシギシと鳴らし始めた。
「ああっ…はあっ…しげるさん」
「アミちゃん、締めすぎ…イッちゃう…」
お父さんは聞いたことのないような声を出していた。