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インスタントコーヒー
第5章 その後

6限も終わり、みんなが一斉に下駄箱へと向かう流れにさからって私は隣の棟の物理学教室へ向かう。

冷えた暗い廊下を早足で歩いていく。

磨りガラス張りの木の扉を
コン、コンと叩くと
「どうぞ」
と声がした。なんども聞いた声だ。

「失礼します…」

ゆっくりと扉をあける。

「アヤ、日直お前だったのか。ありがと。」

資料や本に囲まれた先生は涼しい顔をして言った。

悔しい。
私はこんなにドキドキしてるのに。

ゆっくり、ゆっくり先生の方に近づいていく。
「ここに小テスト置いときますね。」

先生、何も言ってくれないのかな。

もしかしたら、もしかしたら。

「お前、何突っ立ってんの。」

先生が可笑しそうに笑って言う。
クールな学校での先生からは想像つかない屈託ない子供みたいな顔。
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