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インスタントコーヒー
第9章 支え〜タクside〜
土手の下にあるベンチに
アヤは1人ポツンと座っていた。
「アヤ!」
俺は上から叫んだ。
アヤは突然名前を呼ばれて驚いたのか
ピクンと体を動かした。
クロスバイクをとめて、
土手を駈けおり、アヤの横に座った。
アヤは何も言わない。
無言の時間が続く。
俺はこの、
カラッと晴れた青空と対照的に
俺とアヤの周りに流れる異様な空気に
おされそうになり、
もがくように言葉を探した。
自分の頭の中には
溢れ出そうなくらい色々なことがあるのに
何も言葉として出せない。
「さっきは、乱暴なことしてごめんな」
「私こそ、何も言わずに逃げちゃって
ごめんね。」
当たり障りのないことを言ってはみたが
また沈黙の時が流れた。