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インスタントコーヒー
第9章 支え〜タクside〜
アヤを支えたいのは本当だけど
こんなに
ズルい気持ちが出る。
アヤは子犬みたいな濡れた目で
俺を見つめる。
俺は思わずアヤを
ギュッと抱きしめた。
強く。
アヤの鼓動を感じるくらいに。
「俺じゃ…ダメかよ」
心の中にあった声が思わず漏れる。
何を言ってるんだ、俺。
最低だ。
ズルすぎる。
弱ってるところに漬け込んだみたいじゃないか。
「ごめんね…ありがと…ごめんね…」
アヤは俺の耳もとで
小さな声でそう繰り返した。
「俺こそ、ごめんな」
俺はそう言ってその場を離れた。
アヤのこと、これ以上見れなかった。
自分のことを殴ってやりたい。
支えたい
っていうのはきれいごとなのかもしれない。
俺の中はこんなに
ぐちゃぐちゃに汚くて
アヤが俺のものにならないか、
って淡い期待を抱いたりする。