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インスタントコーヒー
第10章 向き合う
家の玄関のところに誰かがいた。
ユイだ。
ユイは私が近づいて来たことに気づいて
はにかんで小さく手を振った。
私もぎこちなく手を振り返す。
「アヤ。ちょっとお話しようよ。」
「…うん。」
私は冷たくて暗い家にユイを通した。
ユイの『おじゃまします』という声が
静かな空間に響き渡った。
「アヤ、大変だったね…」
「私、アヤのお家で色々あったことも
先生のことも、全部知ってた。
でも、アヤが苦しんでるけど、
それを支えてるのは先生だし
アヤは先生のこと男としても好きだって
思ってるのが分かったから
何が正解かわかんなくて、何も言えなかった。」
「アヤを支えられるのは私とタクだけって
勝手に思ってた。
でも、何もできなくてごめんね。」
そっか、ユイは全部知ってたんだ…。