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たとえそこに、愛がなくとも
第1章 悪戯な再会


「失礼しまーす」

私がドアを開けに行く前に、そのドアは勝手に開かれた。

そして、中に入ってくるのは、ダンボールを持った背の高い男の人。


「……あ、どうも」

「あ、はい、えと……こんにちは」

どう返せばいいかわからず、とりあえず挨拶を返す。


背が高くて、細くて、ふんわりとパーマのかかったこげ茶の髪の毛。少しうつろな目をした切れ長の目、通った鼻筋。

この人、結構かっこいい……。でも、若いよね。私より年下かも。


「あの」

「は、はい」

「もしかして、新しい人っすか?」

「あ、はい、そうです。今日から研修がはじまったばっかで……」

「どうりで」

「え?」

「ここの挨拶、朝も昼も夜も”おはようございます”なんすよ」

「へ……」

風俗と一緒だ…なんて一瞬よぎってしまったことを激しく後悔した。だからもう忘れるんだってば。


それにしても、彼は無表情だ。さっきから1ミリたりとも表情を変えない。ピクリとも笑わない。

そのくせ話しかけてくるって、無愛想なんだか、そうじゃないんだか。



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