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たとえそこに、愛がなくとも
第1章 悪戯な再会

「俺、宮野 樹(ミヤノ タツキ)です。業者で週に5日荷物運んでて、顔合わせることも多いと思うんで、一応自己紹介」
「なるほど、業者さんだったんですね。どうも」
私はとりあえずぺこりと頭を下げた。
「あんたは名乗らないんすか?」
「え?」
「名前、教えて」
「あ、えと、来宮桃です」
「来宮さんね。あと、タメでいいっすよ。俺の方がたぶん年下だし」
「何歳なんですか?」
「18」
「18?!」
想像以上の若さに思わず聞き返してしまう。まさかまだ十代だったとは。それにしては大人っぽい。
それに、意外とよく喋るらしい。すごくめんどくさそうにしゃべるけど。
「あんたは何歳なの?」
「私は、24歳」
「ふーん」
ふーんって、聞いてきたくせに…。
というか、あんたって呼びされるし、たまに敬語は崩れるし、なんか生意気そう。けど、イケメン。ほんと綺麗な顔してるな…。
「つか、俺仕事中だった。この荷物片付けといてください。じゃあ」
「え?あ、はい、お疲れ様……です」
「ん」
彼は持っていたダンボールを床に置き、そのままヒラヒラと手を振りながら事務所を出ていった。
マイペースな人だ…。
片付けといてって言われても、新人だから何もわからないのに。あとで店長に聞いておこう。

