この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
たとえそこに、愛がなくとも
第1章 悪戯な再会

「前職はヘルス嬢、そうだろう?」
「……っ!」
ちょっと、待って……今、なんて……?
怯えるような目で彼を見つめると、彼はそんな私にどんどん顔を近づけた。
何?やめて、近づいてこないで……。
彼の唇は私の耳元で止まった。
そして
「お前、ななみだろ?」
甘い重低音が、私のそこで響く。
心臓はドキドキを超え、手で握り潰されたように一切動かなくなる。後頭部は鈍器で殴られたかのようにズキズキと痛い。
だって、今まで何も言わなかったのに。気づいてなかったんじゃなかったの?なんで、今更……。
「俺が気づいていないとでも思ったのか?
初めて会った時からちゃんと気づいてた。お前のことはよく覚えている」
「でも、今まで何も……」
「今まで様子見に泳がせていただけだ。
お前も気づいていたんだろう?」
「当たり前です!
だって店長、いつも私のこと指名して、何度も来て、それに……」

