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たとえそこに、愛がなくとも
第1章 悪戯な再会


「前職はヘルス嬢、そうだろう?」

「……っ!」

ちょっと、待って……今、なんて……?

怯えるような目で彼を見つめると、彼はそんな私にどんどん顔を近づけた。

何?やめて、近づいてこないで……。

彼の唇は私の耳元で止まった。

そして

「お前、ななみだろ?」

甘い重低音が、私のそこで響く。

心臓はドキドキを超え、手で握り潰されたように一切動かなくなる。後頭部は鈍器で殴られたかのようにズキズキと痛い。

だって、今まで何も言わなかったのに。気づいてなかったんじゃなかったの?なんで、今更……。


「俺が気づいていないとでも思ったのか?

初めて会った時からちゃんと気づいてた。お前のことはよく覚えている」

「でも、今まで何も……」

「今まで様子見に泳がせていただけだ。

お前も気づいていたんだろう?」

「当たり前です!

だって店長、いつも私のこと指名して、何度も来て、それに……」


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