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たとえそこに、愛がなくとも
第1章 悪戯な再会



「……あの」

「なんだ」

「私が風俗で働いていたこと、人には黙っていてほしいんです。バレたらこの仕事は続けられません」

「まあそうだろうな」

「だから、他言無用ということで……」

「それはできないな」

「え……?」

予想外の言葉に私は驚いてゆるゆると目を見開いた。

「こんな面白いこと黙っておけというのか?無理だな、今すぐにでも言いふらしたい気分だ」

「店長!!」

「何が店長だ。以前みたいに”類さん”と呼んでみたらどうだ、ななみ」

「……っ!」

思ったよりマズイことになってしまった。

何せ意地の悪い彼だ、おとなしく黙っているなんて、彼がそんなことをするはずがなかった。どうしよう、本当に厄介だ。

私が今の仕事をやめるしか方法がないのだろうか?

せっかく真面目な職が見つかったのに。せっかくいい人たちばかりの職に就けたのに……。


「お願いです、黙っていてください。私この仕事を辞めたくないんです!」

「なぜ俺がただでそんな偽善的なことをしなければならないんだ」

「じゃあ何でもします。お金で解決できるなら、それでもいいです」

「ふーん……なんでも、か」

「へ……」

彼の目の奥が怪しく光る。なに……?



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