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たとえそこに、愛がなくとも
第2章 ふしだらな身体

そもそも見ず知らずの男の人とキスをするのは気持ち悪かった。
タバコとお酒の味がするキスは気持ち悪かった。
身体を触られるのは気持ち悪かった。触るのも気持ち悪かった。
それから本番強要がしつこい人は怖かった。風営法で違反とされているにもかかわらず彼らはしつこく挿れたがる。
バレないから、中に出さないから、そう言ってしつこく頼み込んでくる。
なるべく上手くかわすようにはしていた。けれど、正直断りきれないことはよくあった。私は見ず知らずの男たちと何度も身体を重ねた。
運良く妊娠はしなかった。病気にもならなかった。でも、私の身体は汚れた。
仕事終わりに涙を流すことは多かった。
ストレスが溜まって、もらったお金はすべてすぐに使い果たした。貯金なんてできなかった。ストレス発散のために散財した。
もちろん辞めようと思ったことは何度もあった。
でもその度にお店の人、つまり店長やマネージャーやボーイさんに説得され、結局毎回辞めることを決意できなかった。
気持ち悪いとはいえ、たった週2回、1日4時間の我慢。たった週8時間の我慢だったから。
その我慢で、私は月40万円という多額の代償を得ていたのだ。

