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たとえそこに、愛がなくとも
第2章 ふしだらな身体


「……私はただ、やる気がないだけなんです。

客を癒そうって気持ちも足りないし、満足させたいって気持ちも足りない。

店のためにリピーターを増やそうと思えないんです」

だっていつも私は嫌だ嫌だと思いながら客と接している。リピーターを増やして給料を上げようなんて思わない。もう今の額のままで十分だ。業務をこなして、早く就業時間が来ないかと待ちわびているだけだ。

最低限のマニュアルをこなしながら、いつも適度に手を抜いていた。適当に仕事をこなしていた。

「私は、ワガママなだけです」

こんな正直な気持ちを客に対して打ち明けるなんて今までになかった。

というかこんなことして大丈夫だったのだろうか、マズイことをしてしまったかもしれない。

けれど彼は

「そうか。それはますます、お前のことを気に入るな」

さらに満足そうに私を見据える。

そして私をベッドに押し倒し、その上にまたがった。視界に入るのは天井と、彼の綺麗な顔だけだ。

「今までろくな男に触られていないんだろう?」

彼は優しく私の頬に手を添え、二度目のキスを落とした。

「俺が教えてやる。大人の遊びの、気持ちよさを」

耳元で響く彼の甘い重低音。それだけで、私の胸はドキドキと高鳴った。



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