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たとえそこに、愛がなくとも
第2章 ふしだらな身体

パタパタと火照った頰を仰いでいると
「もーもさん♪」
後ろから、ウキウキした声で名前を呼ばれる。
「今、樹くんと何話してたんですかー?」
ニヤニヤとドアから顔をのぞかせているのは、ちょうど勤務時間を終えた本田さんだった。
「べ、別に普通の世間話を……」
「ふーん……キレイでモテそう、っていうのは普通の世間話なんですか?」
「え、聞いてたの?!」
「ふふっ、丸聞こえですよ。桃さん顔赤くなってるし」
顔が赤くなっていることさえバレているらしい。恥ずかしすぎる……。
「彼、無愛想だけどイケメンですよね」
「まあ……綺麗な顔してるとは思うけど」
「あ、やっぱり桃さんも気になってるんですか?」
「いや、別にそういうわけじゃないけど……」
実際、彼はただの仕事仲間で、そういう目で見たことはない。そもそも今は店長のことで頭がいっぱいいっぱいだ。
「へえ……まあ桃さんは樹くんと結構歳離れちゃってますもんね」
「なっ……」
たぶん彼女に一切の悪気はないんだろうけど、なんとなくトゲのあるような言葉だ。そりゃあ6歳も違いますけど。もう24歳のオバサンですけど。

