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たとえそこに、愛がなくとも
第3章 理不尽な嫉妬


事務所のドアを開け、中に入ると、パソコンの前に誰かが座っていた。

うそ、店長だ。最悪……。

どうやら事務作業をしているらしい。

休もうと思ってきたのに、これじゃあ逆に心が疲れてしまいそう。やっぱり仕事に戻ろうかな。

引き返そうと、一歩戻ると

「お疲れ。休憩か?」

「……そ、そうです」

彼に声をかけられ、戻るに戻れなくなる。

私は観念してパイプ椅子に腰かけた。


「今日は忙しいか?」

「いえ、今日は特に」

「そうか。今週末はイベントがあって客が増える。一応構えておけ」

「はぁ……」

思ったより普通の雑談がはじまる。

いやまあ、普段から卑猥な話ばかりされても困りますけど。


ふと時計を見ると、もうすぐお昼になる時間だった。

そろそろ、彼が来る時間だ。昨日の夜遭遇した宮野くん。

どこか、隠れていようかな。更衣室とか、トイレとか……。

いやいや、それはそれで彼に失礼だ。彼は別に悪いことをしたわけじゃないのに。

でも、こういう時どうすればいいかわからないんだよね。最近告白とかされてこなかったし……。

風俗の客に告白されたりとか、プロポーズされたりとかは、日常茶飯事だったけど。そんなの論外。



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