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たとえそこに、愛がなくとも
第3章 理不尽な嫉妬

車の駐車場は、店の裏のゴミ置場の隣にある。ゴミ置場には金属製の蓋があるから、匂いは大して気にならないけど。
「あの、そういえば、私お腹空いたんですけど……」
「は?」
は?って。だってもう7時前。バイト終わりで夕食どきなんだから、ごはんが食べたくなるのは当然で。
「あの、どこかでごはん食べた後に、その、ホテルに行くとか……」
「却下だ」
「え……」
「一緒に飯を食ってホテルに行ったりなんてしたら、そんなのただのデートだろう。
俺はお前と身体以外の関係は持ちたくない。恋人みたいなことをするのはごめんだ」
「……そうですか」
そうハッキリ言われると、なんだか普通に傷ついてしまう。彼は本当に私を抱くことにしか興味がないんだ。
一切期待なんてしていなかったけれど、改めて言われるとショックだった。
やっぱり私は、今でも彼のことを気にしているらしい。
「ほら、さっさと乗れよ」
彼は助手席のドアを開け、車に乗るように顎先で促した。
「……ありがとうございます」
こんなやつに好意を抱いたって仕方ないのに。だいたい彼は、私を脅している身なんだから。
ふたりで車に乗り込むと、彼はエンジンをかけず、私の腰に手を回した。
そして、チュッと素早く私の唇を奪う。
「い、いきなり何を……」
「早く欲しいと思っただけだ。何か文句があるか?」
彼は私の答えを待つこともなく再び唇を塞ぐ。
離れるたびに角度をかえ、深く深く口づけていく。息をも奪っていくような、甘く、濃厚なキスだった。

