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たとえそこに、愛がなくとも
第1章 悪戯な再会

翌日から、さっそくカフェの仕事がはじまった。
とは言っても、最初の1ヶ月は研修期間で、店長から教育を受けながらの仕事になる。
カフェには、Aレジ、Bレジ、ドリンク、キッチン、フロアというポジションがあって、初日に教えられたのはフロアの仕事だった。
「フロアと言っても、フロアに出るのはお客様が帰ってテーブルを拭きに行く時だけで、基本はここでマグカップやお皿の片付けをしてもらいます」
「はい」
「ゴミはすべてこの中で、小マグは右、グラスは真ん中、大マグは左のラックに並べていって、スプーンはこの中。それから小トレーはこっち、大トレーはそっち」
店長に言われた通り、お客さんが下げたトレーを実際に片付けていく。
小マグはこっち、スプーンをここに入れて、ゴミを捨てて……。
「あ、マグは必ず取っ手の向きを揃えてね。その方がラックにたくさん入るから」
「なるほど…」
片付けだけでもうこんなに覚えることがある。
ドリンクは30種類以上覚えなきゃならないし、サンドイッチは10種類あるし、レジだって打ったことないのに。
どうしよう、大丈夫かな?
研修初日から、自分の記憶力が足りるのかと不安にかられた。

