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金木犀と悪魔な執事
第10章 近づく距離、遠くなっていく距離
月は男の子の小さな手に
少し収まりきらないアメを乗せる
男の子はまたこくんと頷くと、
泣き止んでくれて、
お姉ちゃんありがとう
と、言うとどこかに走り去った
「ふぅ……良かった」
ひと息ついた月は立ち上がると
周りに人が沢山いるのに気づいた
何やらこそこそ私を見て話していて
「うわ嫌だぁ」
「何あの子、汚れてるー」
とくすくすした笑い声と共に
いろんな言葉が聞こえてくる
そうだった!!
私、服が汚れてるんだった!!
慌てて服を隠すように月はしゃがむ
ーーどうしよう……
月は目が熱くなって、
涙がぼろぼろと零れ始めたその時ーー