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あいの向こう側
第20章 影
『ごめんなさい…………
お兄さん、怒ってる?怒ったよね?』

女の子はしつこい。


だが、
そのしつこい稚拙さが俺に罪悪感を持たせた。


『怒ってないよ。
______………
親戚んちに遊びに来てんのか?』

俺がフッと笑いかけると、
女の子はホッと顔を綻ばせた。


『うん、そんなとこ。
ね-、わたし口すっごくカタいんだよ。
エロ動画見せてよぉ。
見たい~』


駄々をこねる。



『ダメ。
大人になったら、ね』


『え~。
それっていつからなのぉ?』


俺はふと真顔になった。

『__まぁ、一般的にはハタチを過ぎたら』




女の子は細く頼りない脚を曲げてしゃがむ。
『えー、めっちゃ先じゃん』



やっぱり小学生か…………
最近の子供ってこんなものか?


少し可愛いと思った。
妹が小さい時そうだったように。



『じゃね、
お兄さんは帰ります』
すちゃっと手を挙げる。


女の子は眉毛を八の字にした。
ひどく悲しげに。


が、一瞬のことで、
ニッコリ笑い手を振ってきた。
『うん!
またね!!
大人になったら必ず見せてよね!』

タタタと駆けて去っていった。





俺はフッと笑いが漏れた。


____少し、気晴らしになった気がして。




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