この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
あいの向こう側
第21章 ぬれたま
うるさいのは苦手だ。
高校は進学校で、
1年の1学期から大学の話が出ている。
6月、期末考査前だから尚更挙がるクラスメイトたちの迷いと希望。
俺は志望大学があって、
そこに入るにはこの高校が近道だから入学した。
母子家庭だから母を支えたいとか?
そんな殊勝なことじゃない。
早く自分で稼ぎたかった。
スマホ画面をスクロールした。
英単語帳を出して、
暗記した語彙を復習してゆく。
_____プシュ~~~……
バスが停車する。
俯き気味で英単語に熱中してた俺は、
足元に黄色いスニーカーが現れて顔を上げた。
『_____ぅわ』
マズい。
変な声が出た。
目の前に、
他校の女子が立てっていた。
いつも4つ先までは俺一人だけ(たまに爺さんがちらほら)のバス内。
見かけないなぁと思った。
だけど………………
『あのー…………使う?タオル』
俺はリュックサックからハンドタオルを取り出した。差し出す。
女子は、文字通りずぶ濡れだった。
髪やシャツ、チェックのスカートからボタボタ落ちる雨粒。
着衣のまんまシャワーでも浴びたみたいだ。
女子が無言で頷き、
ハンドタオルを受け取る。
ムッとした。
ありがとうくらいないのか?
女子はハンドタオルで顔を拭くと、
被さっていた前髪を上げた。
『うわ!』
『…………え…………なに?
あ、すみません。というかどうもありがとう』
_____何だよこのコ。
ずぶ濡れの髪で隠れてて分からなかった。
すんごい美女だ。
うちの学校にも可愛い子は沢山いる。
だがしかし。
クッキリした二重まぶたに、
小さな形のよい鼻。
真っ白な肌に赤い唇がキュッと結んでて………
まじまじと見てしまった。
(うわ、ラッキー。
天然じゃんこれ…………)
高校は進学校で、
1年の1学期から大学の話が出ている。
6月、期末考査前だから尚更挙がるクラスメイトたちの迷いと希望。
俺は志望大学があって、
そこに入るにはこの高校が近道だから入学した。
母子家庭だから母を支えたいとか?
そんな殊勝なことじゃない。
早く自分で稼ぎたかった。
スマホ画面をスクロールした。
英単語帳を出して、
暗記した語彙を復習してゆく。
_____プシュ~~~……
バスが停車する。
俯き気味で英単語に熱中してた俺は、
足元に黄色いスニーカーが現れて顔を上げた。
『_____ぅわ』
マズい。
変な声が出た。
目の前に、
他校の女子が立てっていた。
いつも4つ先までは俺一人だけ(たまに爺さんがちらほら)のバス内。
見かけないなぁと思った。
だけど………………
『あのー…………使う?タオル』
俺はリュックサックからハンドタオルを取り出した。差し出す。
女子は、文字通りずぶ濡れだった。
髪やシャツ、チェックのスカートからボタボタ落ちる雨粒。
着衣のまんまシャワーでも浴びたみたいだ。
女子が無言で頷き、
ハンドタオルを受け取る。
ムッとした。
ありがとうくらいないのか?
女子はハンドタオルで顔を拭くと、
被さっていた前髪を上げた。
『うわ!』
『…………え…………なに?
あ、すみません。というかどうもありがとう』
_____何だよこのコ。
ずぶ濡れの髪で隠れてて分からなかった。
すんごい美女だ。
うちの学校にも可愛い子は沢山いる。
だがしかし。
クッキリした二重まぶたに、
小さな形のよい鼻。
真っ白な肌に赤い唇がキュッと結んでて………
まじまじと見てしまった。
(うわ、ラッキー。
天然じゃんこれ…………)